Human interferon-β

[要約]

このページでは、抗癌作用がある生理活性糖タンパク質を化学法で初めて合成したことについて述べる。

IFN

ヒトインターフェロン-βは天然のN-グリコシル化サイトカインであり、免疫調節生理活性を有する。IFN-βのN-グリコシル化は、この糖タンパク質の薬物動態に影響を及ぼすことが報告されている。2012年、坂本と梶原のグループは、高純度な糖タンパク質インターフェロン-β 48(IFN-β)の化学合成を報告した[24]。 この合成では、全長のペプチド配列を3つのセグメント46, 44, 45(配列番号:1-67, 68-88, 89-166)に分割しSPPSで合成後、NCLによって組み立てられた(図5)。また、この合成では、シアル酸が結合したものとそうでないものの2種類の糖鎖構造をつけたIFNを合成し、その抗腫瘍活性を評価した。in vitroおよびin vivoの抗腫瘍活性測定では、合成IFN-βと市販IFN-βの生物活性は同等であった。これは、均一なN型糖鎖を有する合成糖タンパク質がin vivoで強力な生物活性を示した初めての報告であった。